『ベストエッセイ2015』を読みました

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「ベストエッセイ2015」を読んだ。とても面白かった。文を書いているのはプロの書き手で、それを選考したのもプロの書き手だ。編集委員は敬称略で角田光代林真理子藤沢周町田康三浦しをん。面白くないわけがない。


一番面白かった、というか初めて知って驚きだったのは、養老孟司氏の文章の最後にある作者の紹介文(p281)に
ようろう・たけし(京都国際マンガミュージアム館長)
と書かれていたことだ。マンガミュージアムの館長?

養老孟司さんって、東大医学部の解剖の先生で、いまは名誉教授で、『バカの壁』の作者だよな?間違ってないよな?養老先生って京都のマンガミュージアムの館長までやってるの?」
と思い、グーグル検索したらやはりその通りだった。なぜマンガミュージアムの館長を養老氏がされているのかまでは調べなかった。養老氏は昆虫が大好き、超ゲーマー、解剖の教授、東大医学部、しかもマンガミュージアムの館長。バカの壁も面白かった。なんだかすごい人って、世の中にいるもんやなあ、と心から嘆息した。


私は昔からエッセイを読むのが好きだった。朝日新聞では「声」をいつも読んでいた。特に国語の問題文でエッセイが出たら問題そっちのけで読みふけることもあった。センター試験前の高3の冬休み、対策問題の小説で松本清張のエッセイが出た。松本清張の祖母の話で、読んでいたら涙が出てきて問題文が涙で滲み、感動しすぎて時間内に問題を解けきれなかった。さすがに国語の問題でここまで感動するのは、これが最初で最後だった。


いろんなジャンルの人たちが自分のことや、周りの出来事から感じたことを書いている。書いている人は作家さんのことが多いが、経済評論家、数学者、医者、翻訳家など多岐にわたる。彼らが書いた専門の文章や、私が読まないような話の小説は、私には理解できず面白いと感じないことも多い。けれど、エッセイはその道の門外漢である私でも面白いと感じることができる。エッセイだからこそ、いろんな人のことを知ることができる。


宮田レイシープさんが「ブログってエッセイじゃないか?」ということを書かれていた。
「雑記じゃなくて、エッセイと呼ぼう」 オススメのエッセイスト穂村弘など - さようなら、憂鬱な木曜日
私はとても共感した。うんうん、そうそうその通りやわ。普通に生きていたら接することはない、そんな人たちの日常風景と考えていることをブログで触れることができる。楽しい。だから、私はいろんなブログを読みあさっている。


ただ、ブログを書いているのはたいてい50代以下の若者で、プロとして文章を書いてきた人は少ない。小説家として、評論家として、長年文壇で活躍してきた人の文章はブログからはなかなか読めない。この「ベストエッセイ2015」ではそのような方のエッセイが多くを占める。やっぱり、長年文章で食ってきた人たちのエッセイは面白い。なにが違うって、人生の経験値とか、文章の経験値だ。


「ある有料老人ホームの風景」(山崎正和氏)、「尚歯会」(出久根達郎氏)、「品の良い居眠りは文化」(黒井千次氏)などテーマがお年寄りに向いているものが多い。あと、子供の頃は戦時中で・・・みたいな。私はあまりお年寄りの方と接していないからか、とても新鮮だった。


宮田レイシープさんが上にあげた記事で触れていらっしゃった穂村弘さん。このエッセイ集にも載っている。抜群に面白い。ここに収められているエッセイで一番ファニー。間違いない。


ちなみにこの「ベストエッセイ」ですが、2015だけではなく過去の2014,2013,2012...と割と古いものまでありました。飽きるまで読んでみようと思っています。これから図書館に行ってきます。




じゃあねっ