女は黙って筋肉をつけよう

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このゴールデンウィーク中に三日間、熊本の避難所になっている小学校でボランティアをしてきました。そのことは一つ前の記事で書いたんやけど、きょうはその活動で一番痛烈に感じたことを書きます。


それは「女は黙って筋肉をつけろ」です。私たちは10人でボランティアに入り、そのうち8人は男子、2人は女子でした。支援物資を運ぶのは体力のある男の子のほうがたくさんの荷物を一気に運べるし、トイレ掃除などの掃除でも体力があるから男子のほうが疲れにくい。このボランティアで、男子との体力の差をまざまざと見せつけられました。


女の子がいたほうがいい場面もある。そう信じていたものの、そういう場面は実際、おばあちゃんの入浴介助しかないと思うほど、女子じゃないとできない仕事はありませんでした。被災された方への声かけも、トイレ掃除も、子どもと遊ぶのも、支援物資を運ぶのも、元気で体力のある男の子のほうが求められている感じがしました。


私は私にできることをやりました。だけど、私の一枠がもし男の子だったら、もっと仕事がはかどったんじゃないかと思いました。いや、そんなことないよ、ジニさんのその「ボランティアしたい」っていう気持ちが大切なんだよ。そんな声が聞こえてきそうです。まあ、その通りです。ですが、将来仕事を始めたときもきっと女と男の体力の差を見せつけられるんやろうと考えて、私はちょっと憂鬱になるんです。


若い、体力がある、産休なんてしない。そんな駆け出し男性医師のほうが、体力がなくて、妊娠したら産休・育児に時間をとられる女性医師より医療現場で求められるに決まってるじゃないですか。医師としてのスキルも男のほうが上がりやすいに決まってるじゃないですか。その事実をこのボランティアではっきりと実感しました。


気力・体力・知力。この三つが医師の成長に必要だと言われています。体力だけあっても気力がなければその頑丈な身体をスムーズに動かすことはできません。車に例えると気力がバッテリー、体力がエンジンです。女子の気力バッテリー容量は男子と変わらない、それかもっと大きいと思うんですが、やはり体力エンジンの容量は男子より小さいです。


医学部に入るの自体は知力、そして勉強をするんやという気力があれば入れます。そんなわけで、医学部には男子のほうが多いものの女子学生もまあまあいます。そして、入った時点では、医学生である時点では、勉強ができて成績がいいのは女子です。まじめにコツコツ勉強する女子のほうが男子より成績がいい傾向があるのは、小学校や中学高校を通して誰もが感じることでしょう。


ただ、働き始めてから医師としてのハードワークをこなしつつ勉強しつつとなると、体力の差が圧倒的になります。私は辛い。身体を鍛えている男子には勝てない。私は現場で求められない。そんな気がしてしまうんです。


そんなわけで、「女は黙って体力をつけろ」。その結論が生まれました。熊本から福井に帰るバスのなかで生まれました。


無理はしなくていい。普段の生活にプラスαで筋トレ、ランニング、ウォーキングなどの運動を加える。運動系の部活をやっているひとは真剣に練習に取り組む。常に姿勢をよくする。それだけで体力はちょっとずつつくはずです。


せっかく医学部に入らせてもらって、医師として一生働けるのだから、ずっと一生懸命働きたい。仕事をこなしながら勉強を続けたい。


私が現場で求められ続けるように、いまの若いうちから体力づくりをがんばろうと熊本のボランティアで学んだ、そんな話でした。