ベニテングダケの毒性や中毒について調べました

法医学のレポートで中毒について自分の好きなネタを調べてくる課題がありました。他の睡眠薬有機リン中毒だとみんなとかぶりそうだから、コーナーで差をつけようと思って「毒キノコ」について調べたところ、自分の想像以上にそのコーナーは急でした。そんな感じです。以下はレポートの一部を改変したものです。


 中毒と一言に言ってもさまざまな中毒がある。今回は医学部の授業ではあまり扱わないが、個人的に興味のあったキノコの毒について調べた。まず、wikipediaで「キノコ」について調べた。そして、今回のテーマに合った「毒キノコ」の項目に移った。そこの最初の段落がこれである。

さまざまなキノコが食用となる一方で、毒キノコも数多く存在する。致命的な毒を持つドクツルタケ、シロタマゴテングタケ、フクロツルタケ、ニセクロハツ、ドクヤマドリ、カエンタケなどから、中程度の毒を持ち神経系に異常をきたすテングタケベニテングタケ、オオワライタケや、胃腸系に障害をきたすカキシメジ、イッポンシメジなどが知られている。毒キノコの毒の成分にはアマトキシン類、ムスカリン、イボテン酸、コプリン、イルジンなどがある。

 
最初の段落からいきなりキノコ毒の種類の豊富さに圧倒されてしまった。興味本位で足を突っ込んでしまったが、突っ込んだ先は泥沼だったようだ。調べるキノコを絞ろうと思い、名前をよく聞くベニテングダケについて調べることにした。
 f:id:jinhee:20170125234356j:plain(ベニテングダケ
 手始めにwikipediaでベニテングダケを調べると

ベニテングタケの主な毒成分はイボテン酸、ムッシモール、ムスカリンなどで、摂食すると下痢や嘔吐、幻覚などの症状をおこす

と載っている。イボテン酸、ムッシモールは初めて聞いたがムスカリンなら分かる。アセチルコリン受容体の一種がムスカリン受容体で、ムスカリンがアゴニストだ。CBTにも出た。私の知識が正しいか念のためwikipediaで「ムスカリン」と調べるとなんと、

ムスカリンは1869年にベニテングタケ(学名: Amanita muscaria)から初めて単離された

とある。ベニテングダケにはムスカリンが含まれている、というよりそもそもムスカリンはベニテングダケから発見されたのだ。これは知らなかった。

 ムスカリンは副交感神経作用物質なので、中毒になると涙と唾液の分泌増加、発汗が見られる。(汗腺は交感神経支配だが、コリン作動性なのでムスカリン中毒で発汗する)その他、腹痛、吐き気、下痢、縮瞳、呼吸困難が起きる。ムスカリン中毒の解毒剤がアトロピンであることはCBTを受け終えた4年生なら常識だ。今までの講義や問題でムスカリン中毒については学習していたが、ベニテングダケを食べておこることは知らなかった。

 しかし、wikipediaのベニテングダケの項目を読み進めると、こう書いてあった。

1869年に発見されたムスカリンが、中毒症状をおこす原因であると長い間信じられていたが、他の毒きのこと比較すると、ベニテングタケに含まれるムスカリンはごくわずかである。主要な中毒物質は、ムッシモールとイボテン酸である。20世紀半ば、日本、イギリス、スイスで同時に発見されたこのふたつの物質が、中毒症状をおこす成分だと判明した。

 ムスカリンが毒性の主ではないのか。初めて聞いた二つの物質だが、ムッシモールは抑制系神経伝達物質GABAのアゴニスト、イボテン酸は、神経の働きを司るNMDA型グルタミン酸受容体のアゴニスト活性があるそうだ。イボテン酸には強い旨味成分があるので味が気になるが、これだけは食べられないので残念だ。



面白いことや書きたいことはもっとたくさんあったんですが、A4一枚に収めることという制限があったのでこのような終わり方になりました。キノコはどうやら本当に奥深いようです。あと、wikipediaばっかり参照しやがってという感じですが、あんまり評価が厳しくないレポートなので許してください。