「ぼちぼち」で日本が平和になる

「ぼちぼち」という言葉が好きだ。部活の先輩で、いまは研修医の先生がよく「ぼちぼち」を使う。久しぶりにお会いしたとき、
私「最近調子はどうですか」
先輩「ぼちぼちやわ」
うん、いい。別に調子なんてめっちゃいい、なんてことも、めっちゃ悪いなんてこともなくて、いつだって普通。それをこの「ぼちぼち」という言葉はうまく、ほんわかと表している。なにより語感が可愛い。


この先輩がよく「ぼちぼち」を使うので、私もよく使うようになった。例えば試験前。同学年の男子に
「ジニちゃんはどうせ過去問全部やったんだろ???」
と聞かれたら、
「まあ、ぼちぼちやわ」
と答える。「え~、全然やってないし~」は嘘、「うん、やったよ」も嘘。やってはいるけど、全部ではないし、完璧でもない。そういう微妙なシチュエーションで「ぼちぼち」が効果を発揮する。


そういえば、「ぼちぼち」って正しくはどういう意味なんだろうと思って辞書を引いてみた。

ぼちぼち
[副(ト)]
(1)少しずつ(ゆっくり)行うさま。少しずつある状態になるさま。ぼつぼつ。
「庭の梅がぼちぼちと咲き始めた」
(2)物事を行ったりある状態になったりする時間が徐々に迫るさま。そろそろ。
「ぼちぼち出かけようか」

明鏡国語辞典より)

あれ?私が思っていた「ぼちぼち」と違う。私は「普通」とか「まあまあ」みたいな意味で使っていた。でも確かに、本の中でみる「ぼちぼち」は国語辞書に載っている意味で使われてるなあ。


私は意味を間違えて使っていたけれど、使う場面は合っていたと思う。ぼちぼち。少しずつ、ゆっくりと、徐々に。この一歩一歩ちゃんと進んでいる感じ。着実に進んではいるけど、どギツくなくてはんなりと聞こえる。いい言葉だ。


「進捗どう?」「まあ、ぼちぼち」
「宿題どう?」「まあ、ぼちぼち」
「彼女とはどう?」「まあ、ぼちぼち」


使う場面を間違えてはいけないけれど、調子を聞かれて「ぼちぼちです」と答えるだけで、場の雰囲気が和やかになる。これを読んだ方が「ぼちぼちでんがな」と言うだけで日本の空気がほんのわずかに良くなる、と思う。みなさま、是非「ぼちぼち」をもうちょっと多めに使ってみてください。


ほな、ぼちぼち寝る支度をしますわ。