献血や朝礼で立ちっぱなしだと気分が悪くなるひとへ【血管迷走神経反射の症状、原因、予防、対策、治療】

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おはようございます。ジニです。


突然ですがこんな経験があるひとはいらっしゃるでしょうか。


○過労、脱水、長時間立ちっぱなし、起立、空腹、痛み、採血、恐怖などのストレスを感じたあとに失神したり、意識を失って倒れたり、気分がわるくなった

けれど、しばらくしゃがんだり横になったりすると気分がよくなって歩けるようになった

例えば
・寝不足気味で長時間満員電車の中で立っていると、気持ち悪くなったり意識がなくなったりした

・学校の朝礼で長い時間校長先生のはなしを聞いていて、立っていれないほどしんどくなった

献血で気分が悪くなった


この症状は血管迷走神経反射である可能性が高いです。そしてわたしも血管迷走神経反射が起こりやすい体質です。きょうはその反射について語ります。

血管迷走神経反射ってなに?

まず、血管迷走神経反射とはどういうものか説明します。
(ちょっと専門的なことを書きます。とばして読んでいただいても構いません。ページはそのままで。)

血管迷走神経反射は先ほどあげたようなストレス、強い疼痛、排泄、腹部内臓疾患などによる刺激が、迷走神経求心枝を介して脳幹血管運動中枢を刺激し、心拍数の低下や血管拡張による血圧低下などをきたす生理的な反応です。脳幹血管運動中枢からの刺激は、末梢各臓器の運動枝を介して伝えられます。運動枝は骨盤内臓器をのぞく全臓器に分岐し、気管喉頭や消化管機能に影響を与えます。

この反射は生命維持のための防衛反応ですが、過剰反応をきたして身体異常を生ずることがあります。排尿時の迷走神経反射により血圧低下をきたしたり(排尿時失神)、迷走神経の過緊張により一過性の心停止をきたし失神することもあります(迷走神経性発作)

〔以上、日本救急医学会HPから参照しました〕


で、結局のところ血管迷走神経反射ってなに?

むずかしいことを書き並べましたが、わたしのイメージはこうです。


人体には交感神経と副交感神経というふたつの自律神経がはしっています。交感神経は血圧を上げたり、心拍数を上げたりします。消化管の活動は抑制されます。逆に副交感神経は血圧を下げたり、心拍数を下げたり、消化管のはたらきを活発にしたりします。


ジニのざっくりとした覚え方は、
動くときは交感神経
休むときは副交感神経
です。


敵から逃げるときは交感神経が活発になり、心拍数を上げて血圧を上昇させすばやく全身の筋肉に血液をめぐらせます。逃げているときは食べ物を消化している場合じゃないですよね。

リラックスしているときは副交感神経が活発になり、心拍数は下がって血圧は下がり、血流はゆっくりになります。消化活動も活性化して排便や排尿がおこりやすくなります。


でね、さっき書いた血管迷走神経反射がおこるときの状況ですが

「過労、脱水、長時間立ちっぱなし、起立、空腹、痛み、採血、恐怖などのストレス」

これって、交感神経がはたらいているときなんですよ。ですが、ストレスがかかると副交感神経が活発になるときがあるんです。これでおこるのが血管迷走神経反射です。


ここからはわたしのイメージです。


上に書いたようなストレスで交感神経が活発になり、心拍数や血圧が上がってからだがギリギリと緊張していると、
「これ以上からだを緊張させたらあかん!身が持たへん!」
と脳が感じます。そこで副交感神経をはたらかせてからだを楽にさせようとします。その副交感神経を突然活発にさせすぎて、心拍数と血圧が下がりすぎ、脳に血流がいかなくなって失神します。これがわたしの血管迷走神経反射が起こるイメージです。

わたしの血管迷走神経反射体験

わたしはしょっちゅう血管迷走神経反射がおこります。わたしが覚えているエピソードを3つ、反射がひどくて怖かったもの順にランキング形式で紹介します。


まずは第3位から。

第3位:真夏の駅で立っていられなくなる

中学生のとき、夏休みに部活の合宿がありました。その合宿にいくときの集合場所は駅構内でした。わたしは一番下っ端で、先輩方がいらっしゃるのを立って待っていました。上下関係の厳しい部活だったので、先輩がいらっしゃると緊張しましたし、同じ学年のみんなもずっと立っていました。


真夏で暑いなか、緊張して立ちっぱなし


ふっと目の前が白くなり、吐き気がしました。倒れるまえにしゃがもうと思って、先輩に
「気分が悪いので座ってもいいですか」
と聞いてしゃがませてもらいました。しばらくしゃがんでいると気分が良くなって立てるようになりました。頭の位置を下げることで、脳に血流が行きやすくなるからです。


第2位 献血のあと上の血圧が68に

福井から帰省して大阪に帰ったその足で、梅田の献血バスに向かいました。朝、福井を出て何も飲み食いせず、昼に梅田でラーメンと餃子を食べました。水はこの昼ご飯のときにいっしょに飲んだだけです。そのあと献血バスをみかけて、なぜか社会貢献したい気分になり献血をすることにしました。


下の血圧は覚えていませんが、最初に測ったときは上の血圧(収縮期血圧)が108でした。わたしはもともと低血圧ぎみです。針を入れられて400mlの血液をとられ、針を抜かれた瞬間でした。


視界が白くなって吐き気がし、立つことができなくなりました。血圧を測られると上が68。この68が衝撃すぎて、下の血圧は忘れてしまいました。看護師さんに言うとすぐにベッドのリクライニングを倒して、わたしの脚を心臓より高い位置にあげてくれました。


アクエリアスを渡され、ちょっとずつでいいから飲んでくださいと言われました。アクエリをちびちび飲みつつ5分ごとに血圧を測られ、上の血圧が100より上になるまでは立たないでくださいと言われました。結局30分くらいはベッドの上に寝ていたと思います。ベッドを占領してしまって申し訳ない思いでした。


ドクターの話によると、この症状の原因は脱水だそうです。朝から何も飲まず、昼ご飯でラーメンと餃子、そのときコップ2杯ほど水を飲んだだけ。献血バスのなかでももらったお茶を一口二口しか飲みませんでした。


脱水でそもそもからだのなかの血液量が減っているのに、追い打ちをかけるように献血で400mlもの血を抜いてしまった。針を抜いたのが刺激になって血管迷走神経反射になったんじゃないかと考えています。


こんな反射はおきたことがないという人でも、献血を受けるときは
水分補給
をしておきましょう。


400mlの献血をするということは、からだのなかの水分が400mlなくなるということなので、少なくとも
ペットボトル1本分のお茶や水、アクエリアスなどのスポーツ飲料
を事前に飲みましょう。小腸から水分が吸収されるまでに時間がかかるので、直前にガバガバ飲むのではなく献血ルームに行く前から飲みましょう。口から入った水分が小腸で吸収されるのに30分はかかると献血ドクターがおっしゃっていました。たしか。


第1位 包丁で指を切って意識を失った

一人暮らしはじめたてのころ。包丁でじゃがいもの皮むきをしていました。そのころはまだピーラーを持っていなくて、慣れない手つきで包丁をさわっていました。


ふっとじゃがいもが手からすべって、包丁がわたしの親指にあたり少し切れました。ざっくり切れたわけではなく、親指の切り傷自体は軽かったんです。その傷から血が流れてきて、わたしは呆然と傷を見ていました。一人暮らししたてで家族はいないし、血が止まらなくて怖くなったのです。


指が切れてから15秒ほどたったころ、目の前がちかちかしてきて何もみえなくなり体から力が抜けました。
やばい、倒れる、それだけはあかん
と思い、流しに腕をかけてなんとか自力で横になりました。


台所の床に横になってどれだけ時間が経ったのかわかりません。その間、意識がなかったからです。横になったことで脳に血流が戻ったのでしょう。だんだん意識が戻ってきて、床をみると小さな小さな血のプールができていました。ただ、貧血をおこすほどの出血ではありませんでしたし、やはり血管迷走神経反射だったと思います。


意識は戻ったものの立つことはできなくて、しばらくじっとしていました。フラフラと立てるようになり、この出来事を母に電話しました。すると、
「あんたのお父さんもよくその反射がおきてるわ。遺伝やな」
と言われました。父にも災難だったねと言われました。父も指を切って倒れたことがあるそうです。


いまだったら手を心臓より高い位置にして親指の根本を押さえて止血するでしょう。この反射がおきても倒れないようにすぐしゃがみます。経験って大事ですね。


血管迷走神経反射は親から遺伝した体質だとわかりましたし、安静にしていれば治ると医者の父から聞いたので、このあと救急外来にはいきませんでした。


血管迷走神経反射の予防、そしてもし起きたら

この反射は副交感神経が活発になって血圧がさがることでおきます。だから、症状は立ちくらみに似ています。予防としては
水分補給、きっかけとなるストレスに遭遇しない
ことでしょう。


原因となるストレス(具体例は上に書いたもの参照)に出会うとわかっているときは、水分をこまめにとりましょう。水分をとることでからだのなかの血液量が増えます。すると血圧があがります。だからこの反射が起きても血圧が下がりにくくなります。


献血で血管迷走神経反射がおきてから、こまめに水分補給をするようになりました。採血の前や部活のときはのどが乾いていなくても一口二口水分をとっています。


わたしには起こったことがありませんが
・排尿・排便したあとトイレで倒れる
・人混みに酔って気持ち悪くなる
といった症状も血管迷走神経反射の可能性があります。わたしが個別指導の塾で見ていた中学生の子はトイレで倒れたことがあるそうです。


血管迷走神経反射は生理的な反応なので病気ではありません。ただ、もし反射がひどすぎる場合やほかの疾患も考えられるひとは病院にいきましょう。



<まとめ>

反射がおきたら、倒れないようにどこかに手をかけてしゃがみましょう。横になるのでもいいです。倒れて頭を打つと大変です。





じゃあねっ


参考文献
血管迷走神経反射について(ケセラセラVol.76) «
迷走神経反射 日本救急医学会・医学用語解説集